大正元年（1912年）創業の「日山」は、日本橋人形町で長年にわたり和牛文化を牽引してきた老舗です。昭和10年には「すき焼割烹日山」を開業し、戦後の食文化の中で和牛の魅力を広め続けてきました。日山グループは「株式会社日山」と「株式会社日山畜産」から成り、仕入れから加工、販売、調理、接客まで一貫して手がけています。

最大の特徴は、格付や銘柄だけに頼らず、産地に足を運び、生産者と交流を深めながら、自らの目と舌で選び抜く「目利き」の力。仕入れた全ての和牛を試食し、その味の特徴を「日山ノート」としてデータ化し公開する姿勢は、品質への絶対的な自信の証です。創業から一世紀以上、伝統の技とおもてなしの心を受け継ぎながら、今も変わらず「いつもおいしい、ちゃんとおいしい」和牛を届けています。

日山の商品は、生産者の愛情が込められた黒毛和牛を、最高の状態でお客様に届けるための丁寧な工程を経ています。日山が選ぶ黒毛和牛は、清潔で風通しの良い牛舎、澄んだ水、安全で良質な飼料によって健康に育てられています。

仕入れ後は「全頭試食」を行い、脂質・香り・旨味を評価。味の個性を把握した上で、熟練の職人が部位ごとの最適な厚さ・切り方で加工します。包丁での手切りは、牛脂の風味を損なわず、舌触りや旨味を引き立てます。さらに鮮度を保ちながら全国の食卓へお届けするため、温度管理や包装にも細心の注意を払い、創業以来培った技術と経験を注ぎ込んでいます。

日山の和牛は「格付よりも、食べて美味しいかどうか」で選ばれます。選定基準は厳しく、肉質のきめ細かさ、サシの入り方、脂の香り、そして口に入れた時の旨味と余韻までを総合的に評価。黒毛和牛特有のとろける食感と深いコクがありながら、後味は驚くほど上品で軽やかです。脂は融点が低く、舌の上でふんわりと溶け、肉の旨味と甘みを引き立てます。

切り方ひとつにもこだわっています。部位ごとの食感や風味を最大限に活かす技術を駆使。日山が扱う牛肉は、特製の調味料（割下、ごまだれ、ポン酢など）と和牛が織りなす芳醇な香りと味わいが特徴で、噛むほどに旨味が広がり、余韻が続きます。百年以上受け継がれてきた技と感性が、一口ごとに「本物の美味しさ」を伝えてくれる逸品です。

日山のすき焼きは、和牛の旨味を余すことなく堪能できる食べ方です。熱した鍋に牛脂を引き、まずはお肉を軽く焼いてから特製割下を加え、肉本来の香りと甘みを引き出します。焼きすぎず、色が変わった瞬間が食べ頃。溶き卵を絡めれば、まろやかなコクが加わり極上の味わいに。野菜は長ねぎや春菊、しいたけ、焼き豆腐など、割下の旨味を吸う素材がおすすめです。〆は肉と野菜の旨味が溶け出した割下でうどんやご飯を煮込み、最後の一口まで楽しめます。セットの山椒七味は、老舗メーカー八幡屋礒五郎と日山のコラボ商品。こだわりの花椒が効いた和牛によく合う七味です。

お肉の持つ繊細な味わいを最大限に味わうため、まずは一枚目をシンプルに。その後、野菜やきのこと合わせて味の変化を堪能すれば、日山のすき焼きが持つ奥深さを心ゆくまで感じられます。