茨城県大洗町に拠点を置く兼多水産は、昭和36年創業。60年以上にわたり、ほっけや金目鯛、真あじなどの干物づくり一筋で歩んできた老舗の水産加工会社です。代表の関根貴志さんは、「干物は原料がすべて」と語り、仕入れの段階から一切の妥協を許しません。

使用する金目鯛は、北太平洋の公海・天皇海山海域で漁獲され、青森県・八戸港に水揚げされたもののみ。400g以上の大型魚に限定し、自ら目利きした原料だけを商品化しています。量より質を重んじ、納得できる魚だけを扱う姿勢は、長年プロの現場で評価されてきた理由でもあります。安心堂セレクトとして自信をもってお届けできる、確かな生産背景を持つ干物です。

兼多水産の金目鯛開き干物は、鮮度を落とさないための工程設計が徹底されています。

原料の金目鯛は、船上で急速凍結されたものを使用し、加工時は半解凍の状態で素早く開きます。熟練の職人が手作業で血合いを丁寧に除去し、魚の状態や気温・湿度を見極めながら、その日ごとに塩加減を微調整。画一的なレシピではなく、魚と向き合う経験値が味を決めます。仕上げ後は真空パックし、急速冷凍。解凍後もドリップが出にくく、身質のふっくら感と脂の旨味をしっかり保ちます。

家庭の冷凍庫で保存しながら、いつでも“作り立てに近い味”を楽しめるのが、この干物の強みです。

この干物の魅力は、何と言っても魚体の大きさが生む味わいの深さです。身は厚く、焼き上げると表面は香ばしく、中はしっとり。金目鯛特有の上品な脂がじんわりと広がり、後味は驚くほど澄んでいます。

脂が強すぎず、くどさを感じさせないため、舌が肥えた方にも自然に馴染む味わい。素材の良さと職人の手仕事が合わさることで、調味に頼らずとも完成された美味しさに仕上がっています。特別な日の食卓にはもちろん、贈答用としても「違いのわかる一品」として選ばれてきた理由が、ひと口で伝わる干物です。

おすすめは、前日から冷蔵庫に移して低温でゆっくり解凍する方法。身が締まりすぎず、焼き上がりが格段に良くなります。調理はシンプルに、グリルまたはフライパンで皮目から。

まずは何もつけず、そのままの味を楽しんでください。脂と旨味のバランスに、この干物の完成度を感じられるはずです。途中で少量の醤油や、すだち・かぼすを添えると、脂の甘みが引き締まり、後味がさらに軽やかに。
白ごはんはもちろん、日本酒や焼酎との相性も抜群。家庭にいながら、上質な和食の一皿が完成します。